村上春樹さんの現時点での最新長編小説です。
第1部【顕れるイデア編】
第2部【遷ろうメタファー編】
物語の内容や書評はレビューにお任せして、この本に対する僕の解釈を簡単に書きます。
ざっくりまとめると、
「この世界は、イデアとメタファーで成り立っている。」
というのがこの本の主たるテーマになっています。
* イデアとは、「観念」です。
観念というのは、ある物事に対する固有の考え方みたいなものです。
「概念」は一般的な考えであるのに対して、「観念」はその人固有の考え、と捉えると理解しやすいと思います。
*メタファーとは、「隠喩」です。
隠喩とは「例え」のことです。厳密には、例えには直喩と隠喩がありますが、隠喩は違う形にして(間接的に)表現したもの、ぐらいに解釈していいと思います。
では、「この世界は、イデアとメタファーで成り立っている。」とは、
★一体どういうことか・・・というと、
誰しもがわかりやすい言葉を選ぶなら「愛」でしょうか。
愛に対する考え方は一人ひとり違います。
・あなたが誰をどのくらい愛しているか
・恋人や家族をどのように愛したいか、愛されたいか
・愛するより愛されたいのか、それとも逆か
私にとっての愛とはこういうもの、というあなたの考えの集合体がイデア(観念)です。
そして、そのあなたの愛のイデアを形にしたもの(体現したもの)がメタファーになります。
・愛するが故に厳しく接する
・たくさんスキンシップを取って溺愛を体現する
・敢えて手を出さないで見守る
このようにあなたの愛を態度に変えて表出したものが、あなたの愛のメタファー(例え)です。相手によって変える、状況によって変わる、それもあなたのメタファーであり、イデアの顕れです。
なんだか難しいのか簡単なのかわからないですが・・・。
野球選手イチローは、鈴木一郎の人生のメタファーです。
ベートーヴェンの音楽は、ベートーヴェンの人生のメタファーです。
ピカソの絵画は、ピカソの人生のメタファーです。。
あなたの日ごろの態度や言動、すべてあなたの人生のメタファーです。
僕の人生投資家チャンネルの記事を読んでいただいている方には、「自分フィルター 」に通じるものがあります。
★要するに、イデア(観念)のかたまりでできている私たちそれぞれの人生は、そのイデアを違う形に変えて(メタファーとして) 日々アウトプットしているということです。
★感想
本作を読了した時、僕は村上春樹さんの表現がだんだんと直接的で、はっきりとわかり易く文章にあらわされるようになってきていると感じました。話の流れ的に言うと、本作は現時点での村上春樹さん自身のイデアが顕れたメタファーになっているんですね。
僕は著者の全作品を読んできているので、とてもわかりやすかったですが、読みなれていない方々にはワケワカメイミトロロだと思います。なのでおススメはできませんね!
でも、この今回の僕の文章を何度か読んで頭に入れて物語に入っていけば、きっと楽しめる作品だと思いますよ (自画自賛)。
以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました^^