こんにちは、OKUです。
今回は、「軽度知的障害者の支援」についてお話をします。
★はじめに
一般的に障がい者の支援をする方やご家族の方々の認識として、障害が軽度の方が支援しやすいと思ってる人が多いですよね?
自立支援について言えば、そう捉えてる方が多いのではないでしょうか。
これはある意味当然です。知能が高い人ほど自分でできることが多いから、その分支援する側の手間は減ります。
ご本人の知能が10歳ぐらいあれば、自立支援で居宅訪問を利用する場合、大体のことは自分でやってもらえます。
夕食は一緒に買い物に行って自分でメニューを考えてもらい、お惣菜にするもよし、ヘルパーと一緒に作るもよし。洗濯は毎朝何時に回すと統一して決めておけばOK、忘れてたら声かけすればやってくれます。
移動支援を使って映画を観に行くなら、横で一緒に座っていればOKです。普通に考えたら、楽な利用者さんだと思いますよね?
しかし、実際は違います。これは逆なんです。
障害が軽くなるほど、支援は難しくなります。
今回はその辺のお話を少しだけします。
仕事で知的障害者と関わっている方や、子育てをされているお母さんお父さんには、ぜひ最後まで読んで支援や教育の参考にしていただけたら嬉しいです。
★そもそも自立支援は難しい
僕が今まで関わった利用者さんで一番難しかった方は、最も軽度だった知的障害者です。その方を例に挙げます。
Nさん(20代前半、軽度知的、10歳程度)
Nさんは18歳で施設を出てからは一人暮らしで、生活保護を受けながら平日は作業所に通っています。性格は少しヤンチャだけど心優しい青年です。土日は自由にすごされています。
毎日、朝に1時間と夜に2時間ヘルパーを利用していて、朝は外出準備と見送り、夜は夕食と入浴見守り(てんかん持ちのため)支援をしています。
日常的な会話には全く問題なく、小学生で理解できる内容はほとんど伝わります。交通機関も一人で利用できるし、身の回りのこと全般自分でできます。
アニメが好きで熱中してやるべきことをよく忘れるので、しっかり声掛けして促すことは必要です。
この方は当然自立支援になるわけですが、ある程度自立できていて支援者はあまり直接提供するサービスがありません。
本人の意思を尊重するのは、福祉の世界のでは基本中の基本です。そして、Nさんのような方は、本人がこうすると言ってしまえば、僕たちはやることがなくなってしまいます。
でも、じゃあ自分で栄養管理が全くできない知能が子供の方に対して、実年齢が大人だからといって大人扱いをして、本人が望むからといって毎日好きなものを食べて栄養が偏っても、自分で決めたのだから…ということでいいのでしょうか?
生活習慣病になっても、本人の意志でそうしたから、僕たちには一切責任がないのでしょうか?
ここが自立支援の難しさです。
★軽度なほど難易度は高い
知的障害は重度なほど介護寄りの支援になっていきます。
仮にNさんと同じ20代前半で知能が生後10ヶ月といった最重度の知的障害者がいたら、ほぼ介護だけの支援内容になります。
介護も技術は必要なんですが、やるべきことは決まってきます。
逆に、軽度なほど自立支援寄りの支援になっていきます。
軽度なほど顕在化しにくいその人が抱える本質的な部分が問題になってきて、ボーダー付近までなると、もはや問題がほとんど見えなくなって表面的には自立できてしまっています。
だから難しいです。何すればいいかわからなくなりますから。
★軽度知的障害者に必要な支援
Nさんが一人暮らしを続けた結果どうなったかというと、
悪い友達付き合いを始め、タバコを吸ったりお酒を飲んだりするようになりました。
そして、お金をむしり取られ、最後はその仲間たちに外に呼び出されボコボコにされて危険回避のため一人暮らしを止め、グループホームに入りました。
(その後はお穏やかに過ごされているようです)
なので、結果的に失敗例となってしまいました。
なぜ失敗したかというと、マニュアルがゆるかったからだと思います。
自立支援を支援する側のいいようにとらえて、夕食は本人に好きに選んでもらえばいい、支援中以外は自由時間、何でも好き放題…。
判断能力が小学生なのに自由にし過ぎるのは無謀です。
別の利用者さんで40代の軽度の方がいますが、その方も一人暮らしをした結果、お金を全て使い切り、友達に借金をしてトラブルになりグループホームへ入りました。
できないとわかってるところは助けていかないといけません。でも、できるところは自分でやっていただかないといけません。そこの見極めが甘くなり失敗します。
自己決定とか自己責任とか社会性とか、上っ面を無理やり理解させるんじゃなくて、今わかりやすく目の前でできないこと(物理的な部分だけでなく)をサポートしてあげないといけないんですよね。
軽度知的障害者の支援に足りないと思うのは、冗談でも何でもなく、「愛」です。
愛がないと、軽度の場合は特に利用者さんの障害の本質が見えないです。僕にとっては一番難しい仕事です。
愛のある支援…響きはバカらしいけど誰にでもできません。一人の子供を本気で育てて自立させる親ぐらいの愛とエネルギーが必要です。
あなたの支援に愛はありますか?
愛が足りないんです。
最後まで読んでいただきありがとうございました^^
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